• 所有者不明土地問題

    所有者不明土地問題とは

    我が国では、登記簿などの公簿情報を参照しても所有者が直ちに判明しない、又は判明しても所有者に連絡がつかない土地、いわゆる「所有者不明土地」や、適正な利用・管理がなされないことで草木の繁茂や害虫の発生など周辺に悪影響を与える管理不全の土地が、人口減少・高齢化の進展に伴う土地利用ニーズの低下や地方から都市等への人口移動を背景とした土地の所有意識の希薄化等を背景に、全国的に増加しています。これらの土地については、生活環境の悪化の原因やインフラ整備、防災上の重大な支障となるなど、対応が喫緊の課題となっています。
    (「人口減少時代における土地政策の推進~所有者不明土地等対策~」 国土交通省ウェブサイトより)

    表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律について

    令和元年5月17日,表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律(令和元年法律第15号)が成立しました(同月24日公布)。
    この法律は,所有者不明土地問題への対策の一環として,不動産登記簿の表題部所有者欄の氏名又は名称及び住所の全部又は一部が正常に登記されていない「表題部所有者不明土地」について,その登記及び管理の適正化を図るために必要となる措置を講ずることにより,その権利関係の明確化及びその適正な利用を促進しようとするものです。
    具体的には,(1)表題部所有者不明土地の登記の適正化を図るための措置として,登記官に所有者の探索のために必要となる調査権限を付与するとともに,所有者等探索委員制度を創設するほか,所有者の探索の結果を登記に反映させるための不動産登記法の特例が設けられました。
    また,(2)所有者の探索を行った結果,所有者を特定することができなかった表題部所有者不明土地について,その適正な管理を図るための措置として,裁判所の選任した管理者による管理を可能とする制度が設けられました。
    なお,本法津は,(1)については令和元年11月22日から施行されており,(2)については,令和2年11月1日から施行されます。
    「表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律について」 法務局ウェブサイトより)

    「表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律の概要」

    (法務省ウェブサイト)

    所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法について

    平成30年11月15日,法務省及び国土交通省が所管する「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」の一部が施行され,法務省関連の制度の運用が開始されました。
    この特別措置法では,法務省関連の制度として,登記官が,所有権の登記名義人の死亡後長期間にわたり相続登記がされていない土地について,亡くなった方の法定相続人等を探索した上で,職権で,長期間相続登記未了である旨等を登記に付記し,法定相続人等に登記手続を直接促すなどの不動産登記法の特例が設けられました。
    また,地方公共団体の長等に財産管理人の選任申立権を付与する民法の特例も設けられました。
    「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法について」 法務局ウェブサイトより)

    所有者不明土地問題と土地家屋調査士との関わり

    土地家屋調査士は、日常業務において隣接土地の所有者が行方不明、相続登記未了土地、変則型登記等の問題に直面することもあり、その解決には時間や費用を要すること、また、事案によっては解決することが難しいことを経験しています。
    令和元年6月6日に成立した「司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律に対する付帯決議」においても、「空き家や所有者不明土地問題等の諸課題の解決に当たっては、司法書士及び土地家屋調査士の有する専門的知見や財産管理、筆界確定等についてのこれまでの実績に鑑み、その積極的な活用を図ること。」とされています。
    土地家屋調査士は、表示の登記に関する専門家としてのみならず、これらの課題についても日常の業務の経験を活かしつつ解決に取り組んでいくことにしています。